建具材(障子用材)

      1         2        3        4        5        6

木材の色艶を写真で紹介するのは大変難しいですが、出来るだけ実際の見た目に近い様、撮影したつもりです。(色の違いが分かり易い様、単材でなく並べて載せております。)
たとえ同種材でも伐採される山、谷が違えば色艶が違います。同じ1本の木でも芯側と皮側で色艶の違いが出ます。
ここでは当店で良く目にする色艶材をご紹介させていただきます。(色を言葉表現するにも個人感がありますので御了承ください。)
1)尾州ヒノキ 木曽地方で採れる為、木曽ヒノキとも呼ばれます。
尾州ヒノキは世界で一番綺麗なヒノキといわれ、伊勢神宮に使用されているのは有名です。
油気が強く強靭、玄関戸や門戸といった外部建具にも使用されます。
写真1番材中央部に濃い筋が入っているのがお分かり頂けますでしょうか?これが油分です。
色は白っぽい物から少々黒味かかった物まで様々ですが、通常多く流通されている物は写真の様なピンクがかった色合い物です。
最近、大口径の材が無く稀少材で最高級材です。
2)米ヒノキ 北米産のヒノキ。20年程前は安価品として扱われてきましたが、最近、材が激減し稀少。国産ヒノキ材に肩を並べる位、高価になりました。
国産ヒノキよりも油分が多く強靭です。外部材として多く使われてますが、日焼けが早く激しい為、真っ黒くなってしまうのが短所です。
色は白っぽい物から黒味がかった物まで様々。普通は少々黄味がかった物が多いです。
3)杉 写真3は秋田杉です。杉は日本国内で多く自生、植林されていますが、建具材として一般に使われるのは秋田産と吉野産です。板では屋久杉が有名です。
材は軽く障子に使用すると扱い易いです。冬目が硬い為、雨戸板に使用されています。長年使用し紙の様に薄くなった杉板も多く見受けられる様に見掛けによらず水には強い材だと言えると思います。
軽く扱い易い反面、材が柔らかいので傷が付き易いのが短所です。
色は写真の様に赤く見える事から「赤杉」といわれますが、ピンクっぽい色から黒味がかった物まで様々です。最高級材です。
4)米杉 北米産の杉。大口径材が多く見受けられ板材に製材される事もあります。
ログハウスに多く使われている材料です。
国産杉材に比べ多少耐水性に劣りますが、障子に使用すると軽く扱い易いです。
写真は少し黒い色目材を載せていますが実際はもう少し明るい色です。日焼けが早くすぐに写真色になってしまいます。もっと日が経つと真っ黒になってしまうので使用を敬遠される方が多い様です。濃い色の好みの方も居られますし、古い障子の作り替えの際、浮かず目立ちませんので使用される方も居られます。
5)スプルース 北米産の松科の木です。アラスカ、カナダに多く自生します。一昔前は大口径材も見受けられましたが、最近は非常に少ない状況です。
耐水性は良いとは言えません。室内建具向きです。
カナダ産は色が赤く、アラスカ産は白い材が多い為、殆どの建具事業所はアラスカ産を使用している様です。写真はアラスカ産。もう少し木目がはっきり見える物や色の白い物も見受けられます。通常は少々赤味がかった物が多いです。
アラスカヒノキという販売名があるほどですから、色目は国産ヒノキに似、ヤニ気も含みますから室内使用におきましては長く使用できます。
日焼けが早く、米杉の様な色になってしまうのが短所です。
6)米ヒバ 北米産のヒバ材。最近の米ヒノキの高騰により代用品として使用頻度が上がりました。耐水性にも優れ玄関戸、門戸にも使用され家の基礎材にも使用されます。シロアリも来難い万能材の様です。スプルースより多少高価ですが、材も美しくコストパフォーマンスに優れます。独特の匂いが有りますが納入後数日で無くなります。少し日焼けすると国産ヒノキの様な色になります。砂埃等の多い外部使用場所においてはグレー色になってしまう為、要注意です。最近、多用化され良材も少なくなってきました。
色目は白いというより淡い黄色。ヤニ壷も目立ちますが、紫色のシミが多く出現するのが短所。手垢が付き易いのもネックです。


建具材(框戸用材)


      7         8        9        10       11      12

框戸、框ドア用材の紹介をさせていただきます。
障子用材の紹介材は全て框戸、框ドアにも使用できます。反対に框戸、ドア用材は小さく製材すると反り、ねじれが生じ易い為、障子には使用できない、お薦めできない物が殆どです。
注意)障子用材にもいえる事ですが、ここで載せている物は一般的な物であり、これが全てではありません。建具用材にはもっと多くの種類がありますが、省略させていただきます。
7)パイン 北米産の松科材。イエローパイン材の流通が多い様です。
材は柔軟で軽く加工性に優れますが耐水性は期待できない為、屋内建具材として使用されています。障子を作ると綺麗ですが狂いが出る事も多くお薦めできません。大きく木取りドア材使用なら問題ない様です。
材は白く日焼けしても真っ黒になった木は見かけません。
8)アガチス 南洋産針葉樹。ドア材として使用されています。南洋杉として販売している業者もあるように比較的軽い材も見受けられます。が木目がはっきり見えなく杉とは似つかない材です。屋内框ドア材として多く利用されウレタン塗装され納められる事が殆どです。ウレタン塗装を施したドアは玄関戸として使用されているを多く見かけます。塗装性の良さからカシュウ塗り下地材としても利用されています。
色は白っぽい物から濃い茶色まで様々です。縞の出る材も混入します。
9)シオジ モクセイ科の広葉樹。東南アジアに多く分布し、国産材は激減しています。現在使用されているのは外材が殆どです。タモと混合されている様です。
材は重く硬い為、屋外建具にも使用されていますが、あまりお薦めできません。
白く綺麗な材が多く高級感がありますから屋内使用に最適です。
10)米松 北米西部産松科材。ダグラスファーとも言われています。また建具材に使用する良質米松材をピーラと呼んでいます。屋内外、色々な所で使用されています。
耐水性にも優れヤニ気も多く含みますので強靭です。
写真は少しオレンジ色が強く出た材を載せていますが、実際はもう少し白っぽい材が多いです。日焼けすると写真色に変わり艶は無くなってきます。ヤニが吹き出てくるのが短所と思っておられる方も多い様です。
11)ケヤキ ニレ科の広葉樹。ケヤキ使用材の殆どは国産品が使用されていますが、大口径材は激減傾向にあります。耐水性に優れ主に神社仏閣建築材、建具材として使用されます。屋外使用が殆どですが稀に屋内造作材、建具材として使用される方もおられます。門戸に利用される幅広尺長一枚板材として有名です。
色は黄色っぽい物からオレンジ色っぽい物まで様々です。良材を「本ケヤキ材」、他を「ヤブケヤキ材」と名称分けされている様です。最高級材。
12)アユース アフリカ産のアオギリ科材。桐科の材ですので軽いです。
加工性も良く比較的安価材ですので室内建具の框戸、ドア材として多く利用されています。柔らかい為、建築材には向かない様です。
桐の色は「白い」イメージがありますが、アユースは淡い黄色です。最近、当店ではクリヤー塗装納めが多いです。所々に濃い茶色の筋が出たり、蒸れに因る変色が出たりするのが短所です。